「夢があっていいね」
「やりたいことが明確なんだね」
そう言われるたびに、なんだか心がざわついていた。正直に言うと僕には“これがやりたい”って夢はなかった。でも、それが悪いことのように感じていた。
だからこそ、ニュージーランドへのワーキングホリデーを選んだ。
夢がないまま日本で働き続けるより、いっそ環境を変えてしまったほうが何か見つかるかもしれない。
そう思って飛び込んできたのが、このワーホリ生活だった。
「やりたいことがない自分」がずっと苦しかった
大学の就職説明会、友達との会話、面接、親との話――
どこにいても、「やりたいことは何?」という問いがつきまとっていた。
みんなが将来の目標を語る中、自分は「なんとなくこの業界でいいかな」とぼんやり答えることしかできなかった。
でもそれを口に出すと、「それでいいの?」「もっと熱意を持った方がいいんじゃない?」と返される。
夢がない=意識が低い
夢がない=努力しない
夢がない=ダメ人間
そんな空気に、気づかないうちに飲まれていた。
ワーホリという“余白”を選んだ理由
就職してもすぐ辞めそう。
かといって進学や留学に対する明確な目的もない。
正直、何かに向かって頑張れる自信がなかった。
だからこそ、「一度、日本を離れてみよう」と思った。
ワーホリという制度を知ったとき、「これなら夢がなくても行ける」と感じた。
英語が話せなくても、目的が明確じゃなくても、とにかく海外に“生活者”として滞在できる。
夢はない。けど、「今のままじゃダメだ」という直感はあった。
その小さな違和感を、ワーホリは受け入れてくれた。
「夢がなくても、生きていける」と気づいたニュージーランド
ニュージーランドに来てから数ヶ月。
こっちでは「将来どうしたいの?」なんて誰も聞いてこない。
むしろ、「今、どうしてる?」が基本だ。
職場の人も、ルームメイトも、カフェで隣になったおじさんも、
みんな“今”を大切にして生きている。
毎日ちゃんと食べて、空を見て、誰かと笑って。
日本で感じていた“先に進まないといけない圧力”が、ここにはない。
「将来の夢は?」じゃなく、
「今、楽しんでる?」
その問いに切り替わっただけで、呼吸がしやすくなった気がした。
夢がないからこそ、見えるものもある
夢がない自分を責め続けるのは、もうやめた。
夢がある人がすごいのは当然。でも、夢がない人間にだって、できることはたくさんある。
毎日を丁寧に生きること。
知らない人と話すこと。
小さな違和感をメモすること。
誰かの話をよく聴くこと。
そんな日々の積み重ねの中から、「自分にとって大事なもの」が少しずつ見えてきている。
夢は、最初から持っている人だけのものじゃない。
“気づいたときに見つけるもの”なんだと今なら思える。
ワーホリは、「夢がない人」にこそ向いている?
「ワーホリ=夢を追う人のための制度」と思われがちだけど、実は逆じゃないかと思ってる。
やりたいことが見つからないから、とりあえず動いてみる。
その“とりあえず”を許してくれるのがワーキングホリデーのいいところだ。
実際、僕と同じように「とりあえず来てみた」という人も多い。
彼らも別に全員が夢を追ってるわけじゃなくて、「何か変えたかった」くらいの気持ちで来てる人もたくさんいた。
だからもし今この記事を読んでいるあなたが、
「夢がない自分はダメだ」と感じているなら、そんなことは全くないと伝えたい。
最後に:夢がなくても、自分の人生は動き出せる
日本では、“何かにならないといけない”という空気がある。
でも、何者でもない時間こそが、人を育てるんだと思う。
ニュージーランドでの生活は、そんな“余白の強さ”を教えてくれた。
焦らなくていい。
夢がなくても、自分を責めなくていい。
何もないところから、気づけばちゃんと人生は動いていく。
そしてある日ふと、「これが好きかも」と思える瞬間がくる。
その時に少しでも前を向けるように、今をちゃんと生きておけばいい。
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