最近、街を歩いていてふと思うことがある。
「スーツ着てる人、全然いないなあ」
いや、実際にはゼロじゃないんだけど、本当に数えるほどしか見かけない。ニュージーランドに来てもうすぐ2ヶ月になるけど、この感覚はずっと変わらない。なんなら、最初の1週間くらいで「ん?なんか雰囲気ちがうぞ」って思い始めて、今ではそれが完全に当たり前になってきた。
私は今、ニュージーランドのウェリントンという街に住んでいる。いちおう首都だから、それなりにビジネス街もあって、オフィスも多い。でも、それでもスーツ姿は珍しい。
どこを歩いても、カジュアルな服装の人がほとんど。シャツにチノパンとか、Tシャツにジーンズとか、スニーカーとかブーツとか。中にはサンダルの人もいるくらい。最初は「え、これで仕事行くの…?」って驚いた。でも、今はもう「うん、それがこっちのスタイルだよね」と思えるようになってきた。
日本では当たり前だった“あの景色”
こっちに来てから、「あ、あれって日本独特だったんだ」と思うことがいくつもあるけど、その一つが“スーツ文化”かもしれない。
日本では、平日の朝に駅前を歩けば、スーツ姿の人たちがずらりと並んでいた。コンビニにも、バスにも、どこにでもいた。黒とか紺のスーツに革靴。リュックかブリーフケース。髪もきっちり整っていて、どこかみんな同じような雰囲気だった。
もちろんそれが悪いとかじゃない。ただ、あれが“当たり前”すぎて、それ以外のスタイルが浮いて見えるくらいだった。
だからこそ、ニュージーランドに来て、「え、働いてるのにこんなラフでいいの?」って驚いた。服装に正解がないというか、ちゃんとしてるかどうかって、スーツとかじゃなくて中身の話なんだなって思うようになった。
スーツを着てる人を見ると、ちょっと気になる
逆に、こっちでたまにスーツを着ている人を見かけると、めちゃくちゃ目立つ。
「あ、この人はたぶん会議だな」「プレゼンとか面接なのかな」って勝手に想像しちゃう。
でも、こっちではスーツは“特別な時に着る服”という印象が強い気がする。普段から毎日スーツって人は、おそらくかなり限られている。もしかしたら、法律関係とか銀行とか、そういうきっちりした場面に関わっている人なのかもしれない。
お店のスタッフやカフェの店員、オフィスワーカーでも、ほとんどの人はラフな格好で働いている。ネクタイなんて、ほんとにレア。
私自身の服装にも変化が出てきた
実際、自分の服装もかなり変わってきた。
日本にいたときは、たとえアルバイトでも「ちゃんとしなきゃ」って気持ちがあったし、ジャケットや襟付きシャツをよく着ていた。でも、こっちに来てからは、その感覚がどんどん薄れていってる。
今は、仕事の日もTシャツにエプロン。移動中はスニーカーにパーカー。街を歩く人たちと同じような格好。誰も気にしないし、自分も気にしなくなってきた。
不思議だけど、その「気にしなくていい感じ」が、すごく心地いい。
見た目じゃなくて、中身を大事にする文化
服装が自由だからって、働く姿勢が緩いかというと、そんなことはない。ちゃんと働いてるし、真面目な人も多い。
だけど、“見た目で評価しようとしない”という文化が、ニュージーランドには根付いてる気がする。
「この人スーツだから偉そう」「あの人ラフだから適当」みたいな見方を、あまり感じない。服装よりも、その人がどんな態度でいるか、どう周りと関わるか、そういうところを重視する社会なんだと思う。
日本では、どうしても「ちゃんとしてる=見た目から」みたいな空気があった。良くも悪くも、第一印象が重視される文化。でも、それに疲れてしまうこともあった。
こっちでは、もっと「その人らしさ」が尊重されている気がして、私はそれが好きだなと思う。
最後に:自分らしくいられるって、けっこう大事
スーツが悪いわけじゃないし、日本でスーツを着て働いている人を否定するつもりもない。でも、服装が自由であること、自分のスタイルでいられることって、すごく気持ちをラクにしてくれるんだなと、毎日歩きながら実感している。
街を歩く人たちの服装はバラバラだけど、その分、自分も「こうでなきゃいけない」って縛られなくなった。
そんな日常が、じんわりと心に染みている。
おわりに
今日もまた、仕事に向かう道すがら、私はTシャツで歩いている。周りを見渡しても、やっぱりスーツ姿の人はいない。
でも、それがこの国の日常で、そして今の私にとっての“ふつう”になってきている。
スーツのない日常。
そんなちょっとした違いが、今の私にはとても心地よい。
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